ユマニチュードを取り入れた新人教育

離職率の高さが悩みとなっている介護業界では、どんどん人材が入れ替わるために新人教育の重要性が増している。介護現場ではさまざまな新人教育が行われているが、そんななか人材を定着させるために、ユマニチュードという介護法が新人教育で取り入れられるようになってきた。

ユマニチュードとは、あなたのことを大切に思っているという気持ちを介護される側に言葉や態度で伝え、人間らしく生活できるようにアプローチする技術のことだ。具体的には、相手をどう見るか、相手とどう話すか、相手にどのように触れるか、相手が自立できる状況をどうやって作り上げていくか、という4つの柱を同時に繰り返し行っていく。

認知症の要介護者が多く入所しているある施設では、ユマニチュードを取り入れたことで、身体抑制を必要とする入所者の数が半分になったという実例もある。介護を受ける側の症状と介護をする側の負担が共に改善したという結果が得られたのだ。この介護法の教育を受けた職員からは、ユマニチュードを実践したことで、要介護者の自由について考えるようになった、という意見が出ている。身体抑制されている認知症の人でも、自分らしく生活したいと考えている傾向が高い。その気持ちを尊重し、敬意を表して接することが大事であることは分かっていても、実際にはなかなか実践できないことが介護職員の悩みだ。だからこそ要介護者の尊厳を理解させるための新人教育として、コミュニケーションの基本となるユマニチュードが注目されているのだろう。